遺伝子組換えイネについて
遺伝子組換えイネの種類
すでに農水省が日本での作付けを認め、あとは厚生省に食品としての安全性評価の申請をすればよいだけになっている組み換えイネには、以下のものがあります。
モンサント社 | 除草剤ラウンドアップ耐性イネ | 1999年、日本の自社圃場で作付け実験 |
モンサント社 | 除草剤ラウンドアップ耐性イネ | 祭り晴、愛知県農試と共同開発 |
アベンティス社 | 除草剤バスタ耐性イネ | 1999年、農水省圃場で作付け実験 |
日本たばこ産業 | 低グルテリンイネ | 酒造用 |
三菱化学(植物工学研究所) | 農水省と共同で耐病性イネ | |
全農 | ヒト・ラクトフェリン遺伝子導入・鉄分増量イネ |
組換えイネの問題は、差し迫った問題です。
この他にも開発が国内外で進められており、組換えイネの市場として、1999年にコメの自由化をした日本がターゲットになっています。
組換えイネの安全性
これまでに商品化されたダイズやトウモロコシ、ナタネなどが環境や健康・農業に及ぼす悪影響が明らかになってきています。
ましてコメは主食であり、大量に組換えイネを食べ続けることは、私達の世代のみならず次世代の健康へ影響が懸念されます。
環境への影響は管理できない
また、イネは日本の耕地の半分をしめる作物であることから、日本の農業環境への取り返しのつかない影響が懸念されます。
ひとたび生産されれば、組換え遺伝子は花粉や種子によって拡散(風、昆虫、鳥など)し、またウイルスが取りこんでいくこともあります。
ひとたびそうなったら、人間が元に戻す事は出来ません。すなわち管理できないものなのです。
組換えイネが引き起こす可能性のある環境汚染
除草剤耐性イネは省力化・コストダウンをうたい文句に導入されようとしています。
しかし、ラウンドアップなど特定の除草剤が大量散布されることは、水田の土壌や水の汚染(飲料水の汚染)にもつながります。
また、遺伝子組み換えによる耐病性は、病原性ウイルスの遺伝子を入れて作り出しますが、これがあらたな病原性ウイルスを作り出したという実験結果もあるのです。
生産者にとっても不利益であった組換え作物
米国で組換えダイズと普通ダイズの畑の比較調査(40箇所)が行われましたが、実際は収量が減ったり除草剤使用量が増え、農家の収入は落ちたという報告が発表されています。
遺伝子汚染によって、除草剤の効かない雑草がはびこったり、新たな病原性ウイルスに作物がやられたり、作物の脆弱化により病気や虫、気候の影響を受けやすくなったりもします。
遺伝子組み換えによる変化は人為的付加・抑制にとどまらないで、予測不可能の変化を引き起こします。
つまり、人のコントロールを越えて変化を引き起こし生態系を破壊するのです。
しかし、そのつけを負わされるのは農家ばかりで、開発企業は知らん顔というのが現実です。
国民の強い懸念があるのになぜ政府は推進するのか?
日本政府は、米国の後追いでバイオテクノロジーを21世紀の中心産業に位置付け、多額の予算を投入し、産・官・学一体となって開発を進めています。
中でも、とくにイネの遺伝子解析に力を入れています。
これは遺伝子に特許が掛けられるようになったからで、唯一日本が優位にあったイネの遺伝子解析で特許をとって欧米の特許競争に追いつこうとの思惑なのです。
つまりは産業のためだけの政策であり、環境への影響、消費者の健康や農家への配慮はまったく抜け落ちています。
現在、多国籍農業バイオ企業5社が世界のイネの特許の23%を握っています。
特許のかかったイネの、自家採取は許されません。
すなわち大企業に農民が支配され、食糧が支配されていくことになるので、世界規模で反対運動が繰り広げられています。
消費者の懸念から売れなくなるリスク
英国テスコは、GM栽培された土地から取れた農産物は買わないと2000年1月に発表しました。
王立不動産調査研究所はこれを受け、農地価格に打撃を与える可能性を示唆し、GM農産物を生産したことのある土地の記録継続の必要性を政府に要請しました。
生産者にもデメリットの方が大きい
以下は、1998年に8200箇所以上のダイズ試験栽培結果を評価した結論、総括から抜粋したものです。
▼Dr.チャールズ・ベンブルック(米国アイダホ州)「ラウンドアップ耐性(RR)ダイズの収量低下の程度とその結果」1999年7月13日
- RR(ラウンドアップレディ)ダイズシステムは除草剤使用に大きく依存し、除草剤の使用や依存を減らすものではない。RRダイズ生産農家はRRを生産する前の従来の雑草管理と比べて1エーカーあたり2倍から5倍の除草剤を使っていた。
- RRダイズ農家のラウンドアップ使用量は主要な雑草にラウンドアップ耐性株が出現し、1999年には著しく増加したため、ラウンドアップの値下げと激しい売りこみがあった。
- ダイズのラウンドアップ使用量は数年以内に1998年の2倍に増加するであろう。このまま続けばラウンドアップの有効性と市場シェアは急速に落ち込むであろう。
- RRダイズの収量低下とコスト高によりダイズ農家の収入減は1エーカーあたり総収入の数%から12%に及ぶ。
- 除草剤が開発されたにもかかわらず雑草は1959年より1999年のほうが農家にとって問題となっている。それは大規模,単一栽培の農法が農場に特定の雑草を生えやすくしたからである。
(2001/6/7)