GM食品から人の腸内微生物へ遺伝子転移を確認!
2002年7月17日「ガーディアン」(英国)等より
英国政府の食品基準局(Food Standards Agency: FSA)の研究によって、GM食品を食べた人の消化器官内のバクテリアへ遺伝子転移が確認された。この研究は人による世界初の実験となる。
FSAから委託を受けたニューキャッスル (Newcastle) 大学のハリー・ギルバート教授 ( Harry Gilbert)をリーダーとする研究で、ボランティア7人にGM大豆を含んでいるハンバーガーの食事を食べさせた後、大便中のバクテリアを培養して調べたところ、7つのサンプル中3つで、バクテリアが非常に低レベルではあるがGM食物からの除草剤耐性遺伝子を取り込んでいたことが認められた。
初めて組換え作物からの遺伝子操作DNAを人間の消化管内のバクテリアで見出したことは、GM食品が潜在的に重大な健康問題であることの証明である。
食品中の組換えDNAが人の腸内バクテリアに取りこまれるなら、GM作物に入っている抗生物質耐性のマーカー遺伝子がバクテリアに転移する可能性もある。
英国医師会(BMA)は、GM食品中の抗生物質耐性マーカー遺伝子の使用に対し大きな懸念を表明し、その使用禁止を求めている。
GM食品中の抗生物質耐性遺伝子が転移によってバクテリアに耐性を広げる可能性は、抗生物質の多用や医療現場で起こされる耐性菌の出現と比べてかなり高いと見ている。
FSAは
「人あるいは動物消化器官で、バクテリアに、機能しているDNAが取り込まれる可能性は非常に低い」と結論づけ、英国政府は
「リスクはさ細である」と安全性を強調した。しかし、キング (King)医科大学の分子遺伝学者マイケル・アントニオ上級講師は、
「これまで可能性はないと否定されてきたが、これで消化器官内のバクテリアからGM作物由来のDNAを手に入れることができることが明らかになった」
「これがたった1回の食事の後で非常に低いレベルであるが起きることを示した」と述べている。英国上院 (House of Lords) はマーカー遺伝子を可能な限り速く段階的に排除するよう要請した。
安田節子によるコメント
この報告結果は、低いレベルであってもGM食品から腸内バクテリアに転移が起こるという、重大な影響を確認したということなのです。
政府がすべきは、できるだけ早くマーカーとして抗生物質耐性遺伝子を使用しているGM作物を禁止することです。
現在世界的に流通しているモンサントの除草剤耐性大豆「ラウンドアップレディ」には抗生物質耐性遺伝子が入っているので、これを食べた多くの人達の腸内微生物は、すでにこれを取り込んでいるのではないかとも思われます。
そうした場合、いざ抗生物質による治療が必要な状況になったとき、薬が効かないという事態に直面するリスクにさらされています。
(2002/7/18)