キッコーマン、しょうゆ原料(脱脂加工大豆)を「非遺伝子組み換え大豆」に切り替え
キッコーマン社の発表
しょうゆメーカーのキッコーマンは、脱脂大豆を原料に用いたしょうゆについて、主な商品を2003年6月末をめどに順次、分別輸入の「非遺伝子組み換え大豆」に切り替えていくと発表しました(キッコーマン広報リリース2003年6月)。
すでに丸大豆を使用したしょうゆは、2000年6月より「遺伝子組み換えでない」むねの表示を開始しているが、しょうゆ原料として広く使用されている脱脂大豆についても切り替えるといいます。
しょうゆは現在、遺伝子組み換え表示の対象食品になっていません。醸造により大豆たんぱくが分解されるので、検知ができないというのが政府の理由です。
しかし、しょうゆ原料の大豆はほとんどが輸入大豆であることから、消費者は、しょうゆに表示がないことに強い不満と不安を抱いてきました。遅まきとはいえ、消費者の求めに応じたキッコーマンの対応をまずは評価したいと思います。
懸念されるのは、意図的ではない混入率
今後、しょうゆボトルのラベルに「遺伝子組み換え大豆不使用」と表示がされたものが販売されるということです。しかし、気になるのは「不使用」と表記される輸入の分別生産管理(IPハンドリング)の大豆が、米国政府の要請によって、5%くらいの非意図的混入が許容されている点です。
欧州連合の規則では、現行、1%以上の混入は「遺伝子組み換え」の表示が義務化されています。日本が米国から輸入する分別生産管理の輸入大豆は、欧州連合では「遺伝子組み換え」の表示が必要なしろものなのです。
今年の米国の大豆生産では、80%が遺伝子組み換え大豆といいます。分別品といっても、混入率は高まることが懸念されます。
大メーカーに期待される高い理念
キッコーマンにさらに期待したいのは、遺伝子組み換え大豆を生産していない国からの輸入に切り替えてほしいこと、そして国産大豆の使用へと向かってほしいもの。需要が高まれば、国内生産が増え、価格も下がっていきます。
しょうゆや食用油の業界が連携して国産大豆振興をはかり、質の高い食品を国民に提供するという企業理念を実現していってほしいと願います。
(2003/6/19)