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バイオ作物懇話会農家が組み換え大豆を今年は結実まで実施


バイオ作物懇話会が日本でGM大豆栽培

バイオ作物懇話会(長友勝利代表)は、国内で組み換え大豆を一般の畑で栽培しようとする生産者グループです。昨年は、北海道北見市、茨城県新利根町と同県谷和原村、福井市、滋賀県高月町、鳥取県鹿野町の6カ所計1・7ヘクタールに植えたといいます。

モンサントの指示で、組み換え大豆は開花前に刈り取り、すき込みが行われました。これはモンサント社が日本の環境に配慮して遺伝子汚染を防ぐという目的で行ったわけではなく、モンサント社の種子特許を守るため、あるいは種子の流出を防止するのが狙いです。

今後の生産では、なんと実をならせるという

今年の生産について、社団法人 農林水産先端技術産業振興センター(略称STAFF)に問い合わせたところ、把握しているわけではないが、北海道が取りやめる可能性があり、植え付けは4,5箇所になるのではないかという事でした。

そのひとつ、茨城の生産地の情報によれば、なんと、今年は花を咲かせ、実をならせてから、青刈りして、すきこむといいます。昨年は除草剤耐性の効果を見て、今年は収量をみるということでしょうか。少しづつ、商業栽培へ向けて既成事実を積み上げていっています。なお、このことを地元農協は知らないということです。

この事が意味するリスクとは

しかし、組み換え大豆を開花させるということは、重大な環境影響が懸念されます。開花させれば花粉が飛び、交雑のリスクが生まれます。また、枝豆として食べる人がいないとはいえません。これまで作付けした農地で土壌微生物の変化など汚染がないか調べられなければなりませんが、それも行われてはいません。

誰も責任を取らないおそれが

そもそもモンサント社が提供する大豆種子が、果たして日本が認可した品種であり、他の未認可の品種の混入がないものなのか、誰も確認していないのです。そのようないいかげんな状態のまま、開花させ、問題が顕在化したとき、回収費用、風評被害も含め、その責任は誰がとるのでしょうか。

生産者はとれないでしょう、ではバイオ懇話会が取るのかといえば、それも困難でしょう。モンサント社がとるのか、政府がとるのか。いきあたりばったり、なりゆきまかせでないというなら、起こりうるリスクに対応し得る措置を講じるまでは農地での生産は凍結すべきです。

聞くところによれば、土地を借り上げ、生産管理を委託する形で引き受ける生産者を探し、バイオ作物懇話会を介して依頼するケースがあるといいます。消費者の情報が入っていない生産者は、比較圃場を見学しただけで、安易に引き受けています。

バイオ作物懇話会を後押しするモンサントとSTAFF

バイオ作物懇話会は、表向き生産者の自主的な試験栽培の姿勢をとっていますが、種子はモンサント社からの供与を受けており、モンサントとの親密な関係にあることは間違いないでしょう。また、STAFFが昨年、茨城の生産圃場の見学会を行うなど、組み換え推進の立場で国内作付けをバックアップしています。

しかし、遺伝子組み換え大豆の一般農地における生産の実態を責任を持って把握し、監督しているところはないのです。農水省は環境安全性評価をクリアした品種だから、植え付けは自由にできると野放しのまま、無責任な姿勢でいていいのでしょうか。農業環境保全の責任を果たしているのかと問いたいです。

ブラジルの悲劇が繰り返されるのか

組み換え大豆生産禁止のブラジルで、生産者に違法な組み換え大豆を生産させ、ブラジル大豆の汚染を引き起こして、禁止を事実上無効にしてしまおうとしたモンサント社。日本の消費者にあきらめさせるために国産大豆にも遺伝子組み換えの混入を狙っているとみるのはうがちすぎでしょうか。

(2003/7/1)

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