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遺伝子組み換えαアミラーゼ産生トウモロコシを承認


αアミラーゼ産生トウモロコシは無害?

4月1日αアミラーゼ産生トウモロコシの食品健康影響評価を行っていた食品安全委員会はヒトの健康を損なうおそれはないとの審議結果を発表した。

このトウモロコシは米国シンジェンタシード(株)が開発、日本に申請していたのもの。

α−アミラーゼはデンプンを加水分解する酵素。米国ではトウモロコシをバイオエタノール生産に用いている。トウモロコシ穀粒の乾燥粉末からエタノールを生産する場合、加水・加熱して澱粉を可溶化し、微生物由来のα−アミラーゼとグルコアミラーゼを添加して澱粉を糖化してから、酵母でエタノール発酵させている。αアミラーゼを添加する代わりに、トウモロコシ穀粒中にαアミラーゼを生産・貯蔵させた本品種子を混合して用いることで、作業工程の簡略化と低コスト化を狙ったものなのだ。それが食品加工用、飼料用として輸出される場合をクリアーするため日本の食品健康影響評価を求めた。

許可するアメリカ、認可しないEU

米国食品医薬品庁(FDA)によって2007 年8 月、問題がないとされたが、EU においては、2006 年2 月に欧州食品安全機関(EFSA)に食品・飼料としての輸入のための申請が行われたが未だに認可は下りていない。

不十分な検査とお粗末な安全性評価

シンジェンタ シード(株)は「耐熱性α−アミラーゼ産生並びにチョウ目及びコウチュウ目害虫抵抗性並びに除草剤グルホシネート及びグリホサート耐性トウモロコシ」を開発している。これまでの複数の除草剤耐性と殺虫毒素生成にα−アミラーゼ産生をも付与したGM改変てんこ盛りトウモロコシが生産・流通することになるのだろう。もともとのトウモロコシにとってゲノムの負荷は大きくなり、その結果脆弱化し、気象変動や新たな病気の発生などがあれば壊滅的になるのではないか。

このトウモロコシ粒全体を食べるのにもかかわらず給餌実験による安全性評価は抽出したアミラーゼをマウス(1 群雌雄各5 匹)に与える急性毒性試験を行っただけで、結果は異常は認められなかったとしている。

α−アミラーゼのアレルギー誘発性については、構造解析の結果、一部のアミノ酸配列にアレルギー物質との構造相同性が確認されたが、IgE 結合能を有さないことが確認されたからとして誘発性なしと結論。アレルギー誘発の抗体はIgEだけではなく、IgA、IgM、IgG、IgDがあるがそれらは調べていない。

米国の産業政策のなかで生みだされたお粗末な安全性評価に従って認可を垂れ流す食品安全委員会は有害・不要である。

(2010/04/27 『いのちの講座』63号 2010.4.28 より)

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